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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

錦織圭は相性のいい8月の全米オープンを見据え、時代の急な流れとも戦っている

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 例年より早い初夏の訪れ、ヨーロッパではテニスシーズン真っ盛りだ。全仏オープンの開幕が迫ったが、ダニエル太郎が面白いことを言っていた。

「サーブを1本だけにして4ゲーム先取(現行は6ゲーム)とかにした方が質が上がり時間もセーブできる……」

 プロスポーツは試合時間の短縮に躍起で、男子ツアーはダブルスの試合中の選手の着席を禁ずる新ルールを導入した。審判台下のベンチはもともと荷物を置くためで、B・J・キングは自分たちの時代のウィンブルドンにはベンチもなかったと書いている。時代は変わるものだ。

 80年代、全仏は人気がなかった。球速を減じるクレーコートは長いラリーが続き、テレビの間尺に合わなかった。スピーディーなサーブ&ボレーが人気で、その代表がマッケンローだ。90年代にその流れが変わった。衛星放送の発達で時間枠が拡大し、冷戦崩壊でクレー巧者の東欧勢が参入した……いまネットが新たな改革を迫り、当然、プレーも変わってきている。

 ダニエルがサーブを1本だけにと呟いたのは、単に時間節約ではない。サーブが2本あれば、1本目にリスキーな爆弾サーブを打ち込めるから試合が単調になりかねなかった。ところが、メドベージェフを筆頭にしたシナー、アルカラスらのポスト・フェデラーはセカンドサーブが格段に向上し、サーブ1本でも大差なさそう……トップ100で活躍するダニエルの実感であり、錦織圭の戦いでもある。

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