体操金メダリスト塚原直也さんは不動産会社の嘱託社員 体操クラブの総監督を辞したワケ
パリ五輪の予想は?
さて、塚原さんは、五輪3大会で5つの金メダルを獲得した光男さんと、元五輪体操選手の母・千恵子さんの間に生まれ、10歳から本格的に体操を始めた。
高校時代に頭角を現し、アトランタ、シドニー、アテネと3大会連続五輪出場。アテネで団体総合金メダルを獲得した。
「シドニーで大失敗し自信をなくしたので、そこから立て直すのが一番大変でした。失敗はつらくても、成功に向けて試行錯誤を楽しむうち、気付いたら金メダル、という感じでした。体操が好きだったから乗り越えられたのかな、と思います」
08年の北京五輪を逃したのを機に、豪州代表として五輪出場を目指し、豪州国籍取得。しかしかなわず、16年、引退した。
「豪州代表として世界選手権には出場できたし、吊り輪で『ツカハラ1』『──2』『──3』という3つの新技を編み出せたのでやり切りました。国籍は、引退1、2年後に日本に戻しました」
最後に、パリ五輪をうらなってもらうと、「男子は選手育成のシステムがしっかりしています。中国が一番のライバルなので、中国との戦いをどう制するか、にかかっているでしょう。女子は村上茉愛選手ら牽引していた選手が引退したので、上位を狙うのは厳しいかもしれませんが、若い力に期待したいですね」。
(取材・文=中野裕子)