なぜ野球選手に国指定難病「黄色靭帯骨化症」が多いのか? 球界初の経験者と医師が語る
今度は阪神・湯浅京己が手術
阪神は25日、湯浅京己(25)が「胸椎黄色靱帯骨化症」の手術を行い、退院したことを発表した。
黄色靱帯骨化症とは国指定の難病として知られ、プロ野球界でも今季、ロッテの岩下大輝が昨年の手術を経て一軍復帰。DeNAの右腕・三嶋一輝、中日の左腕・福敬登は2022年に手術を行い、翌年に一軍復帰を果たした。
脊椎疾患の患者を数多く診る岩井FESSクリニック院長の古閑比佐志医師が説明する。
「脊柱管の背中側に靱帯があるのですが、普通は軟らかいその靱帯が石のように硬くなる病気です。靱帯が硬くなるだけではなく、分厚く大きくなり、神経を圧迫する。手足のしびれや歩行に影響が出るなど、脊柱管狭窄症と似たような症状が特徴です。ひどくなると膀胱直腸障害で尿漏れなどもあります」
湯浅らは手術を行ったが、中には手術をしない患者もいるという。
「症状を訴えて判明したのではなく、たまたま検査で見つかることもある。靱帯が硬くなっても大きくならず、自覚症状もない場合は経過観察というケースもあります。この黄色靱帯骨化症については、何が原因でそうなるのか、いまだ不明な点が多い。日本人、主に東洋人に多く、遺伝的な問題ではないか、という説もある。太った人もなりやすい傾向がありますね」(古閑医師)
国指定の難病にもかかわらず、プロ野球界ではこの10年余りの間に十数人、この病気にかかった選手がおり、巨人の越智大祐は12年に手術をするも、一軍復帰はかなわず14年に引退。楽天時代の星野仙一監督も14年に発症し、休養を余儀なくされた。
球界で最初に黄色靱帯骨化症の手術を行ったのが、元オリックスの投手で1989年の新人王、酒井勉氏(現東海大コーチ)だ。
酒井氏は「93年なので、僕が30歳の時でした」と、こう続ける。