データが示す大谷「二刀流の壁」…ドジャース首脳陣が投手復帰に慎重な理由ハッキリ
投手はあくまでプラスアルファ
54本塁打、130打点で2冠獲得。打率.310は首位と4厘差のリーグ2位と、一時は三冠王も視界に入ったほど。メジャー初の「50本塁打-50盗塁」を達成し、DHとしては史上初、通算3度目のMVPを受賞した。それもこれも「投手としての負荷やリカバリー」がなかったからだろう。
前人未到の数字を残して、チームのワールドシリーズ制覇に大きく貢献したのは、あくまでも打者に専念したからなのだ。
大谷の投手としての復帰時期に関するロバーツ監督の発言は二転三転している。当初は5月くらいと言い、その後、5月より早くなったり、遅くなったり。前出の特派員によれば「正式な復帰時期はまだ、決まっていない」そうだ。
大谷は右肘と左肩の手術明け。投手復帰に慎重になるのは理解できるとして、首脳陣が復帰時期を逡巡している大きな理由は、投手としての調整を加えたがゆえに打者としての調整にシワ寄せがいく。結果として、打者としての成績が下がることを危惧しているのだろう。
この日は二塁打が出ればサイクル安打の活躍をしたように、仮に打者としての調整に影響が出たとしても、DHとしてこれまでのように優れた成績を残すのは想像に難くない。
が、昨季のドジャースの世界一は、大谷のケタ外れの打撃があったからこそ。連覇のためには打者として「優れた数字」ではなく、「飛び抜けた成績」が必要なのだ。
「シーズン終盤からプレーオフにベストの投球をしてもらいたい」
ゴームズGMがこんな趣旨のことをコメントしているように、首脳陣が投手・大谷に求めるのは打者として昨年のような成績を残したうえでのプラスアルファなのだ。
ドジャースはオフに複数の先発と2人の抑えを補強した。そのうちの一人であるサイ・ヤング賞左腕のスネル(32)が7日、故障者リスト入りしたものの、穴を埋める先発候補が複数いるほど投手は飽和状態だ。
大谷が投げなくても影響はないどころか、投げるがゆえに打撃に影響が出るようならチームにとってむしろマイナス。大谷自身は投打の二刀流にこだわりがあるだけに、首脳陣が投手としての復帰時期に関して逡巡するわけだ。