マスターズ中継またも“ポロリ”で再脚光…TBS名物実況アナが語っていた伝説の「もらい泣き中継」の舞台裏
──というと?
コロナ禍で11月開催になった昨年に続き、今年もオーガスタの現場での実況はかなわなかった。赤坂(のTBSのスタジオ)から放送せざるを得ない中で、制作のスタッフさんみんなが知恵を絞り、臨場感のある中継をしてくれました。優勝を決めて引き揚げる松山選手と抱き合って喜びを分かち合った飯田トレーナーの涙声、パトロンの拍手と「ヒデキ! ヒデキ!」という歓声……。昔はパトロンのイントネーションは「ヒデーキ」だったんです。それが米ツアーで結果を残し、米国ファンの間でも人気が定着したことで「ヒデキ」に変わった。私は55秒も黙ってしまったわけですが、結果的に現場のそういう雰囲気がリアルに伝わった。実況の声がなくても成立することもあるんだなと感じました。
──放送席にいた中嶋プロ、宮里プロも言葉が出なかった。
中嶋さんは選手として11回、解説者として23回目のマスターズでした。ご自身が何度も挑戦されてははね返された。10度目のマスターズだった松山選手以上の思いがある。優作さんもそうです。嗚咽する中嶋さん、宙を見つめて涙をこらえる優作さんの姿にグッとくるものがありました。