週間読書日記
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岡崎武志(書評家)
6月×日 梅雨入りも間近。束の間の晴天はありがたく外出する。さいたま市別所沼公園へ。ここに詩人の立原道造「ヒアシンスハウス」がある。立原は東京帝大で建築を学び建築事務所に勤めた。1939年に結核で病没…
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岩井三四二(作家)
5月×日 某所書店併設の喫茶店で某社編集部と打ち合わせ。1年前はZOOMでやりとりしていたのを思えば、日常がもどりつつあると感じる。といってもマスクははずせず、暑苦しさはつづく。帰りがけにその書店の新…
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新井見枝香(書店員・エッセイスト・ストリッパー)
4月×日 2週間ほど前に受けたリンパマッサージによる内出血がようやく消えた。踊り子の先輩から、池袋北口の中国系エステサロンを勧められたのだ。中国人の先生は「小顔に…」という私の控えめな希望を聞き流し、…
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西條奈加(作家)
5月×日 ゴールデンウィーク中、ほぼ3年ぶりに友人と旅行に出た。行先は長野。連休中だけにどこも混んでいて、善光寺や松本城は長い行列ができていた。待つのも行列も苦手だが、未だコロナ過から抜けきれない状況…
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佐川光晴(作家)
5月×日 昨秋、26歳の長男が国家試験に合格して独り立ちした。この春には小学校教員の妻が定年退職し、18歳の次男が大学に進んだ。主夫として、長きにわたり、家事育児に勤しんできた当年57歳の小説家は、節…
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倉阪鬼一郎(作家)
4月×日 埼玉県で行われた戸田・彩湖フルマラソンに参加。コロナ禍で2年半ぶりのフルマラソンになる。フル89戦目だが、こんなに間隔が空いたのは初めて。当日は夏日で、まだ暑熱耐性ができていない時季には厳し…
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高嶋哲夫(作家)
4月×日 「コロナ」から「ウクライナ」にニュースの主役が移って2か月がすぎた。田舎に住んでいると、コロナは騒ぎすぎと感じるが、ウクライナの惨状には現実味を感じる。ロシアと言うと満州、シベリア抑留の過去…
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大竹聡(作家)
4月×日 まん延防止等重点措置が解除されてほぼひと月。街は一見すると従来の賑わいを取り戻している。 酒と酒場をテーマにルポやエッセー、小説を書く私にとってこの2年は、広い意味でのネタ元である酒…
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七尾与史(作家)
4月×日 父の命日が来月にくる。私の父親の実家は静岡県浜松市天竜区にある二俣というところなのだが、僕も休日になるとよく遊びに行った。父の兄、つまり伯父にあたる人が以前、このあたりで一家殺人事件が起きた…
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稲垣えみ子(フリーランサー)
3月×日 広告で花村萬月著「ハイドロサルファイト・コンク」(集英社 2420円)発売を知り衝撃。文芸誌「すばる」で連載を超愛読していて、だがこのところ載っていなかったので花村氏の健康状態を勝手に案じて…
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江上剛(作家)
3月×日 飯能ゴルフクラブで友人とプレー。コロナ禍で会食がなくなり、ゴルフが増えた。ボールがどこに飛ぶかわからない腕前。その結果、ソーシャルディスタンスが保たれる。ゴルフ場はコロナ禍における桃源郷だ。…
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鎌田慧(作家)
3月×日 川人博、高橋幸美著「過労死・ハラスメントのない社会を」(日本評論社 1760円)を読む。 「命より大切な仕事はありません。どうかすべてのひとが働いて幸せになれるように、働くことへの意識…
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石井妙子(作家)
2月×日 自宅で物を書くか資料や本を読むか、という誠に変化に乏しく、華やぎとは無縁の毎日を送っている。できれば旅に出たいのだが連日のコロナ報道を見ていると、それも憚られる。そうした中で上原善広著「四国…
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芦原すなお(作家)
2月×日 毎週金曜日の夜は音楽仲間と地元のスナックでライブをやっていたのだが、コロナ禍の為に2年間も中断している。電車にもほとんど乗らない。本好きでよかったとつくづく思う。読書なしでは生きてこられなか…
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奥野修司(作家)
2月×日 ある方から「開戦の詔書」の原本をいただいた。これがきっかけで、「昭和天皇『日米開戦』7つの謎」(「文藝春秋」2022年1月号)を書いたのだが開戦に決意していく昭和天皇の意思を推理していくのは…
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吉川潮(作家)
1月×日 コロナ禍でステイホームが多くなり、落語会に行く機会がめっきり減った。この日は紀伊國屋ホールで春風亭小朝の会があったので出かける。「菊池寛が落語になる日」という会で、同名の新刊(文藝春秋 17…
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
2月×日 “困ったときの小池真理子”──。編集部にそんな暗黙の合言葉があった。 1981年春。フリーランスの物書き稼業になった私の主戦場は週刊大衆だった。 女子大生が実名顔出しでヌード…
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吉川永青(作家)
1月X日 4月予定の文庫のために改稿作業中。単行本執筆は何年も前で、当時の記憶だけでは間違うこともあるかと「別冊歴史読本 豊臣秀吉合戦総覧」(新人物往来社 1870円)を見返した。秀吉の合戦だけに特化…
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プチ鹿島(時事芸人)
1月×日 春に書籍を3冊出すことになった。ジャンルは違えど、この5年くらいの活動があらためて形になるから嬉しい。作業で忙しい日々だが読みふけってしまう本があった。まずは中国新聞「決別 金権政治」取材班…
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須賀しのぶ(作家)
1月×日 今年初の仕事打ち合わせはインドカレーの会。美味しすぎて感動していたら、いつのまにかスケジュールになかった短編を書くことになっていた。不思議だ。やはり対面で食事しつつだといろいろアイデアが湧く…