「京に鬼の棲む里ありて」花房観音著

公開日: 更新日:

「京に鬼の棲む里ありて」花房観音著

 かやは、比叡山の麓、八瀬の里で生まれ育った。古くから延暦寺の使役を担ってきた八瀬の村人たちは、自分たちを伝教大師に仕えた冥土の鬼の末裔だと信じている。さらに里の男たちが誇りにしているのは、足利尊氏と決裂した後醍醐天皇が比叡山に逃げる際にその輿(こし)を担いだことだ。以来、八瀬の男たちは比叡山に登る貴人たちの輿を担ぐ役目を仰せつかってきた。

 かやの夫・千太は里長から、近いうちに輿を担ぐ役目を与えられるかもしれないと言われ喜びを隠せない。かやは、里に滞在することになったその貴人にゆかりのある者の世話役を担うよう命じられる。貴人の愛人と思われたが、数日後、里に現れたのは夜叉丸と名乗る美しい男だった。(「鬼の里」)

 室町時代の都を舞台に男女の欲と生きざまを描く短編時代小説集。 (新潮社 649円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走