<第6回>組合も納得させた「唐獅子牡丹」の美しさ
【昭和残侠伝 (1965年・東映)】
同作品は第2次世界大戦が終わった後の東京、浅草を舞台にした任侠映画シリーズの第1作だ。任侠映画としては前年に公開された「日本侠客伝」の方が先で、そちらもシリーズ化された。「昭和残侠伝」は全9作。「日本侠客伝」は全11作になっている。
「あの頃は1年に15本の映画に出た」と、高倉健本人が語っていたが、2週間程度で撮影を終えると、次の作品が待っているといった状態だった。
このふたつのシリーズはいずれも「任侠の健さん」を観賞する映画であり、役どころもストーリーも似ている。
業界の腐敗、ライバルの横暴、謀略などに我慢に我慢を重ねた主人公が最後には爆発して、立ち回りになる。いずれもそんな展開だが、ただ、出てくる共演者によって、本人のやる気が違っているように見える。
「昭和残侠伝」は映画評論家にしてみれば類型的プログラムピクチャー(量産映画)だろう。しかし、高倉健ファンならば見落としてはいけない一本だ。