著者のコラム一覧
野地秩嘉ノンフィクション作家

1957年、東京生まれ。早稲田大学商学部卒。出版社勤務などを経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュや食、芸術、文化など幅広い分野で執筆。著書に「サービスの達人たち」「サービスの天才たち」『キャンティ物語』「ビートルズを呼んだ男」などがある。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。

<第10回>宇崎竜童が語る「高倉健からもらったもの」

公開日: 更新日:

【四十七人の刺客 1994年・東宝】

 監督は「炎上」「おとうと」「東京オリンピック」を撮った市川崑。内容は題名の通り、忠臣蔵である。市川崑はもともとアニメーターで、洒脱な作風の人だ。

 市川崑は市川雷蔵、石原裕次郎勝新太郎、仲代達矢と日本を代表する男優と仕事をし、「一度は健さんと仕事がしたい」と言って、オファーしたという。

 忠臣蔵は群集劇だ。高倉健ひとりの演技だけがずばぬけていても、作品全体の評価にはつながらない。主演の俳優は共演者たちの動きがひとつになるようにリーダーシップを発揮しなくてはならない。そこをわかっている高倉健は俳優陣を引っ張り、共演者の実力を引き出している。

 共演したうちのひとり、宇崎竜童によれば高倉健は常に全員の士気が上がるよう、心を砕いていたという。

あの方はちゃんと共演者の演技を見ているのです。あの映画で、僕(宇崎)は堀部安兵衛の役でした。浅野家の家臣が街道で荷車を押していたら、敵の刺客とも思える飛脚が近づいてくるシーンがありました。そこにいた侍役の俳優たちはいっせいに身構える演技をするわけです。その際、大石内蔵助を演じていた高倉さんは離れた場所で休憩していたのですが、どうやら撮影シーンを見守っていたらしい。次に会ったとき、ぽつりとおっしゃったのです。『宇崎さん、あのシーンのとき、刀の鯉口を切っていましたね』……」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」