工夫と努力で1日400杯 おのののか「ビール売り」の極意語る
■注いでいる間にも次のお客を探す
まだありますよ。観客席の上段から階段を下りてくる際、「ビール、ちょうだい!」って合図されるお客さまだけじゃなく、通路から見える範囲の、ビールを飲んでらっしゃる方のコップの中の量も見てました。
ホームランが出たり攻守が変わる時ってよく売れるので、そのタイミングで、量が少なくなってた方が多いエリアにいると、「もう一杯!」って声をかけてもらいやすいんです。
また、お馴染みさんの飲むペースを覚えて、空きそうな頃にそばを通るとか……。
球場でよく観戦される方はお気づきかもしれませんが、ちょうどコップが空になると、なぜか近くに売り子さんがいませんか? あれは偶然のこともありますが、成績のいい売り子さんはちゃーんとチェックしてるんですよ。
さらに、お客さまから注文をいただいて、ビールをついでる時も気を抜いてはいません。
「大勢のお客さんですね」「きょうはお天気でよかったですね」って球場を見回すフリをしながら、実は次のお客さんを探すんです。
こう話すと、ほとんどの方がビックリされますが、細かい努力やちょっとした工夫ひとつが売り上げを大きく左右するので、やりがいのある仕事でしたね。