クスリの使い方から見える“新型コロナ”のいま
2019年11月に最初の感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、その後、世界中で多くの死亡者を出しましたが、5年以上経過した現在、予防法や治療法がおおむね確立されてきたように思います。
予防では、年に1回程度のワクチン接種(特に65歳以上の高齢者ら重症化リスクの高い人)、マスクの使用や速乾性アルコール製剤による手指消毒も当たり前となりました。一方で、流行初期に行われていた次亜塩素酸ナトリウムの噴霧や濃度の薄いアルコール製剤の使用など、誤った消毒薬の使用は減ってきたように思います。
感染してしまった場合には、発症早期の軽症例には抗ウイルス薬である「ニルマトレルビル/リトナビル」の内服、飲み合わせがあったり腎臓の機能が悪い方では「モルヌピラビル」の内服、入院が必要な場合には注射剤である「レムデシビル」などが使用されます。
発症7日前後以降の中等症・重症の病態では、「デキサメタゾン」など抗炎症薬の投与が必要となり、重症例ではECMO(人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療)が必要となるケースもあります。