元宝塚・森奈みはるの殻を破った「劇団☆新感線」での初舞台

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 それが「PSY U CHIC―西遊記」でニンジン女王という、コメディータッチの女王様を演じることに。そして、いざ稽古になると、さらに驚きました。演出家や監督はご自分のイメージにはめ込もうとされることが多いのですが、いのうえさんはそれぞれの役者が持っている才能や魅力を引き出すことを優先されるのです。

 まずご自身で演じてイメージを役者に伝え、いくつかのパターンで演じさせて、その中から面白い演技を採用する。さらにセリフ、演出も日に日に変化があり、初日の幕が上がってから楽日までより良い工夫を凝らしていきますから、まったく同じ舞台はありません。

 もちろん、それはよりお客さまに楽しんでいただくためのトライアルですが、私にとっては凄いカルチャーショックでした。“芝居はマニュアルではなく、生き物”ということを教えていただきましたね。

 それらを経験したうえで私が余りにも伸び伸びと演じるので、ご覧になられた歌劇団時代からのファンの方は今までに見たことのない表現などを目の当たりにして、とてもビックリされました。

 女優の厳しさとチャレンジ精神、そして楽しさ、面白さを教えてくださったおふたりにご恩返しをするためにも、これからもお芝居に真剣に取り組んでいきたいですね。

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