立川談慶さんが語る落語と酒 「登場人物はみんな下戸」

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 それでも師匠の命令ですから断れません。かといって度数が度数ですからホンの数杯で限界。すると師匠、顔色が変わった私を見た途端に「俺んチで吐いたらクビだ」。慌てて外へ飛び出しましたよ。幸いにも敷地の境界に出たところでリバース。「吐いた的経済水域」の重要性を身に染みて理解したものです。

 昨年末に閉店した銀座のバー「美弥」も忘れられないですねえ。ここは師匠の大のお気に入り。亡くなる直前まで足しげく通っていました。でも、弟子は二つ目になるまでは店内に入れないんですよ。店が狭いってこともありますが、「身分が違う」と。師匠が「帰る」というまで外で待機してました。真冬でもね。

 2000年12月。普通5、6年のところ、9年半かかってようやく二つ目昇進が決まって、お披露目をする前の晩に「美弥」で飲んでた師匠にご挨拶に伺いました。すると「そうか、頑張ったな。フライングだ。許す」と。初めて「美弥」のカウンターでご馳走になったキリンラガービールは格別でした。

 04年に真打ち昇進を本気で考えて相談した際もお酒がありました。その時は元プロレスラーのキラー・カーンさんが歌舞伎町で経営していた居酒屋です。翌年、晴れて昇進できました。

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