志ん朝師匠がニコッと「ばあさん、のぶおが帰ってきたよ」

公開日: 更新日:

 入門が許され、付けられた前座名が林家のぶお。

「いくらなんでも芸名としてはおかしいでしょ。1年後におかみさんを通して改名を願い出ました。それで、林家九蔵です」

 九は「止め」という意味で、最後の弟子にするとの意思表示だった。

「それなのにあたしの後、上蔵、時蔵、正雀と3人も取ったんですから、師匠もいい加減ですよ。当時、稲荷町にはよく新聞記者がやってきて、物知りの師匠にいろんな質問をする。それを一緒に聞くのが楽しみでしたね」

 年長者に気に入られることを業界の符丁で「はまる」と言うが、九蔵はよくはまる前座だった。愛嬌があって気が利くので、先輩師匠連、業界の関係者から「きゅうちゃん」と呼ばれ可愛がられた。そのことは私が好楽の兄弟子、春風亭柳朝の一代記「江戸前の男」を書いた時、周辺取材をしてわかった。口うるさい柳朝が九蔵を大変可愛がったのである。

「ただ、正蔵師匠はよくしくじりました。師匠が亡くなるまでの16年間で23回も破門を言い渡されましたから」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情