劇団「新感線」成功のカギは“スターシステム”の確立だった
演劇界をプロデューサー的視点で見て凄いと思うものを挙げてもらった。
「たとえば、劇団四季は1983年にキャッツを上演して以来、ミュージカルに特化しました。役者でなく“劇団四季のミュージカルを見る”というふうに観客の『目的』を変えた、これは浅利慶太さんの功績でしょう。おかげで彼が亡くなっても存続するビジネスモデルが確立されています。最近の2.5次元と呼ばれる演劇も今までにないファン層を開拓したという実績は何よりです。『あれは演劇じゃない』とケチをつける人もいますが、新規層の開拓しなきゃとクダを巻いてる演劇人にはできないことをやってのけているんですから。新感線も“異端児”扱いされがちでしたけどね」
細川氏は常に芝居をクールに分析する。
「東京で1000人、大阪で500人の動員は親戚レベル。3000人を超えるとやっと他人が見に来るようになり、5000人を超えると社会的影響を与えるようになる。要は面白ければ集まる、それだけなんです。時々、長年続けて、動員数1000人なんていう劇団員の人から相談されるんだけど、『それって、友達と親戚だけだと思うよ』と、小声で言いたくなるんですけどね……」