出川哲朗と30年来の親友"チェン"との類のないストーリー
その頃から出川は熱い男だった。矢沢永吉の自叙伝「成りあがり」に強く影響を受け、「俺は将来、ビッグになる!」と力強く宣言していたという。一方、内村は学校の中でも目立たない存在だった、と出川は言う。
「チェンは学校ではまったく目立たない、正直、華のない男で、芝居でも端役ばかりだった」(太田出版「Quick Japan」vol.63)
だが、一方で「女のコにはなぜかすごくモテました」(同前)と。この当時から内村の人たらしの才能は開花していたのだ。
出川は、内村が住んでいたアパートの近くのミスタードーナツで連日朝まで夢を語り合っていた。「俺は、性格俳優を目指していこうと思うんだ」と言う出川に対し、内村は映画監督になる夢を語っていた。内村は高校時代からクラスメートと自主映画を作っていた。文化祭で上映すると超満員になるほど。だから自信があった。
当然、映画学校でも出川や南原清隆、入江雅人ら同級生たちが出演し、8ミリ映画を作った。それが「お座敷小唄」だ。出川は「後の内村光良をほうふつさせる素晴らしい作品」(集英社「未・知・子―ウッチャンナンチャンの愛と謎の告白手記」1990年3月発売)と振り返っている。