「i-新聞記者ドキュメント-」森氏 日本社会の集団化を危惧

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 もっとも、おかしいのはメディアだけではない。森氏は「今の日本社会は集団化が加速している」と言う。安倍政権によって、官邸トップダウンの完全なピラミッド型組織になった自民党はその典型。一般企業やNPOにさえも波及しているという。

「集団に属したいという気持ちがとても強くなっていますから、違う集団を可視化したい気持ちにもなるわけです。だから、『あいつら俺と考えが違うから右なんだ、左なんだ』とレッテルを貼りたくなる。レッテルを貼れば安心して『敵』になり、今度は攻撃できる。集団化は同時に分断化でもあります」

 数多くのドキュメンタリーを撮ってきた森氏だが、今回、誰もが思い描く“定型”を壊す試みにも挑戦している。全編2時間弱が短く感じる。

「集団に埋没することで人は一人称単数の主語を失う。その帰結として集団は大きな過ちを犯します。日本社会は『個』が弱い。もっと個を強く持った方がいい。これはジャーナリズムだけでなく、一般の人に対しても言えること。この映画を見て、そこまで感じてくれればうれしいです」 

(取材・文=小塚かおる/日刊ゲンダイ)

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