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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

又吉直樹もしびれる伝説芸人「たこ八郎」が醸し出す文学性

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 たこは小学生の頃、友達とどろんこ遊びの最中に泥が目に入ってしまう。そのまま治療せず放っておいた結果、左目の視力をほぼ失ってしまった。ボクシングではそのハンディを乗り越えるため、「ノーガード戦法」を編み出し、22歳で日本フライ級チャンピオンになった。

 その戦い方から「あしたのジョー」のモデルになったともいわれているが、パンチドランカーにもなってしまった。その後遺症で、言語障害、健忘症、夜尿症に悩まされた。引退後は由利徹に弟子入りし、お笑い芸人デビュー。その突拍子のない言動から「放送禁止人間」と言われるようになり、「たこの存在そのものが放送コードに触れる」というような心ない投書が相次いだという。

 たこはディレクターに「バカじゃないことを証明するために、ちょっと利口そうな部分を出してくれ」と言われ、「俺がテレビでやっていること演技だと思わない人もいるなんて」と嘆きつつ一計を案じた。

「巷に雨が降るごとく我が心にも涙が降る」

 たこはベルレーヌの詩をすらすらと暗唱したのだ。投書がピタリとこなくなったという(TBS「R30」06年1月13日)。

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