ビートたけし「浅草キッド」で歌った店の大将は芸人だった

公開日: 更新日:

 ところが、発声練習なんか必死でやって1年がたったんだけど、来るのはエキストラの仕事ばかりなんだ。ゴジラから逃げ惑う群衆とかさ。「はい、こっちからゴジラ出たー」って助監督が大声で指示すると、800人くらいがダーッと走って逃げるわけよ。俺は目立ちたいから、先頭でわざと何度も転んだりしてさ。「君、余計なことしなくていいんだよ!」なんて怒られたなあ。

 小林旭の渡り鳥シリーズでは、食堂で小林旭がギター持って暴れる後ろでカレーライス食ってろって言われたんだ。でも殺陣のシーンが何度もNGになってさ。10杯くらいカレー食わされて、翌日便所に行ったら、それがそのまま出てきたりして(笑い)。

 それでどうもこれはおかしい、ニューフェースはどこいったんだって、残ってた5人で集まって話したんだ。そしたら全員が全員「君は11番です」と言われてたという……。

 これじゃいけねえってんで、浅草でやっていた人情喜劇「デン助劇場」の大宮敏充(デン助)先生の元を訪ねたんだ。1965(昭40)年、19歳の時だよ。

 当時、大宮デン助といえば、そりゃあもう大人気よ。ハゲヅラで口の周りにヒゲを描いて、ガンコな下町の親父というキャラクターでさ。松竹演芸場で1日2回公演。毎週土曜の午後にはテレビで生中継をやっていた。(注=「デン助劇場」は、NET(現テレビ朝日)系列で、1961(昭36)~1972(昭47)年に放送され高視聴率を誇っていた)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド