初回視聴率19.1%「麒麟がくる」好発進はご祝儀か本物か?
ペリー氏は「いだてん」が大河ドラマの新しい形を目指していたのに対し、「麒麟」は「歴史大河ドラマの王道」だという。一方、作家の麻生千晶氏はこう話す。
「初回19・1%はたいしたものです。大河に正統派時代劇が戻ってきたと言えるでしょう。光秀はかつては脂ギトギトの肉食系として描かれることもありましたが、長谷川博己さん演じる光秀は、さわやかな草食系。舞台人だけに声もよく通ります。そんな光秀が今後、どのようにして悲劇の主人公となっていくのか、ある種の成長物語となっていて、うまい出だしだなと思いました。脚本を担当する池端俊策さんは、人間の光と影、特に負の部分を描くのに長けた方です。4K・8K対応のカラフルで鮮やかな色彩に比して、今後、人間の陰の部分が描かれていくでしょう」
■鍵は細かいリアリティー
ただし「注文を付けたいところもある」として麻生氏はこう続ける。
「細かいところですが、リアリティーに欠ける部分が2カ所ほどありました。最後の火事のシーンで、遠景で家が燃え盛っていて、その手前で光秀と門脇麦さん演じる駒が“麒麟”の意味を説明するシーンがありました。ドラマチックにするための演出だと思いますが、まだ家が燃えているのに、誰も消火にあたっていないのはやはりおかしい。もうひとつ。吉田鋼太郎さん演じる松永久秀と光秀が酒を飲むシーンで、光秀は“路銀(旅費)はここにある”と懐を叩いてみせますが、暴漢だらけの戦国時代に初対面相手にあんなことをするはずはありません」
好発進はご祝儀か、川口春奈見たさのやじ馬根性か、ホンモノか。第2回が楽しみである。