「裁判官も人である」岩瀬達哉著
「裁判官も人である」岩瀬達哉著
人が人を裁くという特別な責務と、国の政策をも変更しうる権力を与えられている裁判官には、最良の知性と良識、教養に裏打ちされた判断力が求められる。
裁判官は、全国598カ所の裁判所に3060人(2018年度)が配置され、1人あたり年間200~350件の事件を担当する。事件の処理が遅れると内部評価に響く一方で、誤判をしても責任を問われることはなく、無罪が確実であっても、上級審があるので、検察官と対立するより、とりあえず有罪にしておこうという心理に陥るという。
世間の常識から乖離した閉ざされた世界で、裁判官たちはどのような思いで法廷に臨んでいるのか、そして裁判所はどのような組織風土と論理のもとに運営されているのか。現・元職裁判官を取材したノンフィクション(講談社 990円)