出演者ら将棋が指せず…藤井七段の強さを伝えられない番組
棋聖となった藤井聡太七段をワイドショーが話題にしようとするとき、悩ましいのは、その強さ、凄さをうまく伝えられないことだという。なにしろ、若い制作スタッフや出演者は将棋を指したことがなかったり、駒の動き方も知らない女性アナウンサーがほとんどだから、「藤井七段のこの一手で局面が逆転しました」なんてしゃべっていても、どう逆転したのかが説明できない。ひたすら「最年少」を強調して、凄いを連発するしかないのだ。
「そこで、プロの上段位者にコメントしてもらうわけですが、藤井七段はプロも予想していなかった奇手を繰り出すので、うまく解説できないんです。詳しく説明しようとすればするほど、将棋をよく知らない視聴者はもちろん、スタジオの出演者もわからなくなってしまうんです」(番組ディレクター)
そこで、こんなことも起こる。「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)が、棋聖戦で藤井が2勝目を挙げた対局を取り上げたときのことだ。田中寅彦九段が勝因となった42手目の、「金」を「歩」の前に出す「5四金」を、「金は守りの要なので、3段目より前に置かないのが普通。その金が前に出て攻めたことで、相手の攻撃部隊を全滅させた」と解説し、番組ナレーターも「常識破り」「前代未聞」を繰り返すのだが、司会の羽鳥は「細かいことはわかりませんが、すごいんですね」ときょとんとしている。