著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部2部中退。俳優活動を経て、35歳のときに演劇ユニット「東京深夜舞台」結成を機に脚本家に転身。主な脚本作品に、映画「TAP 完全なる飼育」「サブイボマスク」、東野圭吾原作「パラレルワールド・ラブストーリー」など。2017年に家族愛を描いた「ダー・天使」(集英社)で小説家デビューし、翌年「スノーマン」出版。最新作は幻冬舎から出版予定。

物書きは人と出会ってなんぼ 出会いも文字にして原稿料を

公開日: 更新日:

 勇気をもってメールを入れた。

〈もしよければ、コロナに十分気をつけながら、いちど食事でもしないかい? 肉が好きだったら肉でもいいし、寿司がよければおいしいところもあるし。取り急ぎ、わたしの電話番号を記しておきます。090――〉

 2分後、返事がきた。

〈あ、そういうのは大丈夫です! ありがとうございました!〉

――そう。あっさりしてるのね。でもおじさん、うれしかった。

 物書きなんて、人と出会ってなんぼだ。いや、どのような仕事もそうなのかも知れない。古い考えかもしれないが、そう思う。すこし物書きが他の仕事と違うとすれば――こんな出会いも文字にして、原稿料を頂戴することができることだ。

 ありがとう、青年。これで来週分のいいちこを、いつもより1本多く買わせていただく。 (おわり)

【連載】それでも物書きになりたい君へ

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