「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」は“鬼滅超え”なるか
綾波レイ(声:林原めぐみ)を救えぬばかりか、父ゲンドウの策略により自らの手で世界を壊滅状態にしてしまった碇シンジ(声:緒方恵美)。わずかな生存者で構成されるWILLEの艦隊は、それでも人類社会の存続のため、ゲンドウ率いるネルフの新型エヴァンゲリオン隊に対し最終決戦を挑む。
■庵野監督の“トラウマ”が反映?
前作の公開から8年。155分間という長尺の中には「宙づりにされた軍艦多数が敵と空中戦を行う」など想像を超えたスケールのスペクタクルが多数。さらにはシンジやアスカ、ミサト、ゲンドウといった登場人物の、これまで明かされなかった心情や目的がすべてラストで明らかになる。
「エヴァンゲリオンの作品群は“トラウマの克服”がテーマのひとつといわれますが、そこには未曽有の成功に伴う金銭トラブルに付きまとわれてきた庵野監督自身の姿が投影されているのではともっぱらです。例えば、かつての制作会社の社長は5億8000万円もの脱税で退任。やがて自身で新会社を立ち上げ、この新劇場版を作った後も、旧制作会社からの支払いが滞り、庵野氏は貸金返還請求訴訟まで起こす羽目になったりしました。終盤のゲンドウの衝撃的な独白は、まるで彼自身の内心の吐露のようにすら思えます」(前田氏)
「鬼滅の刃」大ブームの次は「エヴァ」の快進撃。記録的大ヒットが、庵野監督のトラウマを吹き飛ばすことができるのか。