著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<22>周囲に歓迎されなかったスター歌手Sとの儚い恋

公開日: 更新日:

 さらに回想は続く。

「彼のパジャマを着たわたしに幾度もキスをしながら、彼はやさしく全身を愛撫してくれた。あたしのからだの芯は熱く燃えて、彼のそれを待っていたのに、(中略)あたしをもっと激しく抱こうとしたとき、どういうわけなのか、“待って”といってしまったの。“いま何もなければ、ぼくの愛を信じてくれるかい”そういって彼はやさしくあたしの髪を撫でてくれたわ」(同)

 山中湖で一晩中愛し合ったこともあれば、深夜の六本木で肩を組んで歩いたこと、好きな歌をデュエットしたこと、矢住代の脳裏に楽しい記憶が積み重なる。「思い込んだら命懸け」の彼女らしく、「間もなく結婚話が持ち上がった」のも当然だった。

 しかし、結論を言うとそこまで進まなかった。2人の仲は周囲から歓迎されなかったのだ。当時、午後の空いた時間に日本舞踊の稽古に通っていた矢住代だったが、Sに夢中のあまり、稽古に行く足が遠のいた。見かねた母の辰子が、矢住代はおろかS本人にも不満を漏らしたというから厄介である。Sにとっていい迷惑と言うほかない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方