「衆愚政治」がまた始まる…社会を直視できる政治家はどこにいる
万年筆のインク(インキと呼びたい)を買い、馴染みの肉屋でコロッケも買った。少し歩いたらある映画館では映画らしさを味わえそうな番組はなさそうだった。「燃えよ剣」なんていう田舎のテロリスト集団の殺戮ショーは見る気もしない。チケット売り場に行けば、マニュアル語のお嬢さんに揚げたてコロッケの匂いがバレて「外の食べ物は持ち込み禁止です」と言われるのがオチだ。コロッケごときで怒鳴るだけでニュースにされる社会は本当につまらない。大阪の新世界で缶ビールと串カツを買い込み、B・デ・パルマ監督の「愛のメモリー」というスリラー他3本立てを見た時代に戻してほしいよ。自由で寛容な社会が確かにあったのだ。
帰り道、工事現場も昼休みで、赤銅色の顔した老いた工事人夫が積んだブロックに腰を下ろし、湯気立つカップ麺とおにぎりを交互に食べながら、何か思い出したか空を見て一人笑いしていた。目が合ったのでお辞儀をすると、老人も機嫌よくうなずいてくれてうれしかった。
社会を直視できる政治家はどこにいるのだ。