大河「鎌倉殿の13人」は“歴史サファリパーク” 三谷ワールド全開への期待と不吉なジンクス
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が9日にスタートした。主演は小栗旬(39)で、鎌倉幕府2代執権・北条義時を演じる。野心とは無縁だった義時が、初代将軍・源頼朝の13人の家臣のパワーゲームを勝ち抜き、いかにして武士の頂点に上り詰めたのかが描かれる。
脚本は三谷幸喜氏が担当。三谷氏は「新選組!」(2004年)、「真田丸」(16年)に続く6年ぶり3度目の大河。それぞれ全話平均世帯視聴率は、17.4%、16.6%と15%超えを達成しており、今回もヒットへの期待が高まる(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。
第1回「大いなる小競り合い」では、早くも三谷カラーが炸裂。大泉洋(48)演じる源頼朝に恋心を寄せる小池栄子(41)演じる北条政子が、シナをつくってアプローチする場面では、小池のコメディエンヌぶりがいかんなく発揮された。また頼朝が女装して追っ手から逃げるシーンでは、大泉が“お姫さまメーク”で登場するなど、コントのようなシーンが描かれていた。一方、コントシーンとは対照的に、頼朝と最初の妻・八重(新垣結衣)との間にできた幼子・千鶴丸を、八重の父である伊東祐親(浅野和之)が下人に殺害させる非情な謀略も描かれていた。作家の麻生千晶氏は第1話の印象をこう話す。
「三谷さんの『新選組』はあまりに史実を無視していたので私は批判したのですが、今回、謎も多い鎌倉という土地柄、そして鎌倉時代を舞台に楽しませてくれる展開になりそうです。特に頼朝を演じる大泉洋さんがいい。その生い立ちから、猜疑心が強く、後に弟の義経にさえ手をかける陰険な頼朝を大泉さんがどう演じていくのか。それを見るだけでも楽しみになります。普段は明るいタイプの大泉さんを、何を考えているかわからない物語の要となる人物にキャスティングしたことは成功だと思います。音楽もいいですね。ただ、最後の頼朝が馬に乗せられて逃げていくシーンで、ドボルザークの交響曲を使ったのは、少々安易だと感じましたが」
松山ケンイチ「平清盛」は最低視聴率
“人間関係の面白さへの期待”について、時代劇評論家のペリー荻野氏もこう話す。
「頼朝と政子の出会いは、これからどうなっていくのかを期待させる印象的なシーンでしたね。また、複雑な人間関係の中で、いろいろな登場人物が権謀術数をめぐらし、いろいろな表情を見せていくのは楽しみです。第1話でも、お酒の席では笑っていた伊東祐親が、いきなり頼朝をかくまっていた娘婿の時政に攻め入ったり、まさにキャッチフレーズにあるように“予測不能のエンターテインメント”です。今後も面白さと怖さを兼ね備えた猛獣がたくさん登場する歴史サファリパークのような展開になりそうです」
ちなみに頼朝の死後、合議制を敷くことになる「13人」はまだ全員は登場していない。今後の展開が楽しみになってくるが、「中世を舞台にした大河ドラマは『平清盛』(12年=松山ケンイチ主演)が最低視聴率を記録したように当たらない」(放送担当記者)という不吉なジンクスも。大晦日「紅白」が大コケしたNHKにとっては汚名返上のチャンス到来といったところだろうが、お手並み拝見だ。