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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

戦争を始めるヤツはただのバカだ。続けるヤツはただのクソだ

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 77年前の7月29日は、大日本帝国がアメリカとイギリス、中華民国の3カ国から「日本にこの戦争を終わらせる機会を与えることで意見が一致した」という「ポツダム宣言」を突きつけられたその3日後だ。しかも、時の外務省の官僚どもが「受諾するにしてもまだ交渉の余地はあるし、今は黙っていた方が賢明だから、新聞にはノーコメントと掲載させる」と決めて、新聞各社も「笑止、降伏条件」「米英中のうぬぼれを撃破して聖戦完遂!」などと戦争に疲れきった国民をあおるように書き立て、陸軍もそんなものは無視だ、表明しろと迫り、時の首相が記者会見で「この宣言は黙殺して断固、戦争に邁進する」と言ってしまったのだ。南方も硫黄島も玉砕し、沖縄戦も惨敗、もう日本は終わりという時でも、政府はそんな発表をしてしまった。しかも、この「黙殺する」という文句を海外通信社に「リジェクト」(拒否する)と報じられるわ、外務大臣は首相に抗議するわ、てんやわんやだった。でも、アメリカのトルーマン大統領は、拒否されたら原爆投下も正当化できるし降伏も早められると見越していたそうだ。この日本の思考停止。77年目の夏にして、改めて思う。戦争を始めるヤツはただのバカだ。続けるヤツはただのクソだ。

 こんな不快な夏に、岸田内閣は「国葬」も独断で決めてしまった。野党と相談もない。これこそ民主主義の黙殺だ。国中に追悼しよう称賛しようと押しつけか。ワイドショーのコメント屋も適当に同調している。いよいよ大日本大政翼賛会だ。ますます不快だ。

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