小芝風花「事件は、その周りで起きている」コメディエンヌのセンスに驚く
8月1日から4夜連続で、スペシャルコメディーと銘打った「事件は、その周りで起きている」(NHK)が放送された。夜10時45分から11時までの15分間という時間設定が微妙で、前宣伝もあまりなく、気づかなかった人も多いはずだ。
主人公は地方の小さな警察署に勤務する、若手刑事の真野(小芝風花)。何でも自力で達成したがる性格だ。バディーを組んでいるのは効率優先の宇田川(笠松将)。上司の谷崎(北村有起哉)は年上の部下にからきし弱い。
さらに元科捜研のエースだという向田(倉科カナ)もいる。これだけの面々がそろいながら、彼らは事件を解決するわけではない。いわば、事件を解決しない刑事たちのドタバタな日常を描くコメディードラマなのだ。
たとえば真野が書いた聞き取りメモの字が乱雑で、本人も読めない。向田はPCを駆使して解析し、ゴーグルを装着して読み解こうとする。バーチャル空間で文字を追いながら床を這いまわる向田を、呆然と眺めている真野と宇田川の表情が、すこぶるおかしい。
何より小芝が見せるコメディエンヌのセンスに驚く。細かいセリフに込めたニュアンス。かすかな目の動きだけで笑わせる表現力。そして絶妙の間。
下北沢あたりの小さな劇場で、自主公演の舞台を見ているような楽しさがあった。制作したのはコント番組「LIFE!」のチーム。ぜひまた新作を!