井筒和幸
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井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

エンタメの製作者どもは「核爆発」をただのゲームのように思っている

公開日: 更新日:

 プーチンはどこまでも悪党だ。ロシア軍は恐ろしく悪辣な作戦下に侵略を続けてる。「NATO諸国よ、手出しすんな、こっちは原爆を持ってんだからな」と脅して戦争を始めたのだが、加えて、占拠したウクライナ中南部の世界最大級の原子力発電所に陣地を構えて、先日もすぐ近くにある火力発電所を攻撃。“ウクライナの攻撃だ”とウソをつき、わざと火災を起こして原発に送電を途絶えさせたのだ。予備発電機がなければどうなっていたことか。

 こんな邪悪で凶悪で卑劣な戦略で、ウクライナと世界中を震え上がらせている。何度も送電が途絶え、ギリギリで電源を確保したらしいが、電気が止まれば、たちまちチェルノブイリ以上の「炉心溶融」が始まり、背筋が凍るような事態になっただろう。占拠中のロシア軍の司令官もバカばっかりじゃないし、わかっていたはずだ。わかっているのに脂汗をかきながら、命令で原発を守るフリをしながら、原発を「盾」にしている。

 これが哺乳綱霊長目ヒト科ヒト亜科ヒト族亜族という、チンパンジー族と800万年前に分岐したヒトのやることか。人類は核爆弾を造って持った途端、進化が止まって退化しだしてるようだ。「猿の惑星」に出てきたゴリラの軍隊のタカ派司令官でもそんな蛮行はゴリラ軍のプライドにかけてしなかった。あの猿社会では人類の遺産が捨てられている洞窟は誰もが近寄れない「禁断地帯」としていた。猿たちは人類の先史に触れてはならなかったのだ。プーチンの軍隊は、猿にも劣る愚行を重ねている。あの原発一帯が禁断地帯になってしまうような、そんな悪夢は見たくもないが。

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