気鋭の社会学者・周東美材さんと語り合った この国の「未熟さ」が示すもの
■ガラパゴスな日本型ポピュラー音楽の根底
満員御礼の対談は大いに盛り上がった。「未熟さ」を基調とするガラパゴスな日本型ポピュラー音楽は、メディアの変化という〈変わりやすい側面〉と、理想の家族像や「子ども」に関する価値意識という〈変わりにくい側面〉の相乗によって反復されてきた、というのが周東さんの考察だった。
その考察にぼくは著しく共感した。音楽にとどまらず、「お茶の間」という期限切れのフィクションの維持に固執するテレビ業界の見苦しい片意地だって、この考察を敷衍(ふえん)すれば説明がつくのではないか。
2時間の対談で緊張感が最も高まったのは、日本における「未熟さ」の総本山ジャニーズ、とりわけ故ジャニー喜多川氏に話題がおよんだとき。米国籍をもつ日系2世のジャニーさんは、朝鮮戦争に従軍した後はMAAGJ(在日米国軍事援助顧問団)なる機関の職員だったらしい。ではその機関の具体的な目的は何か。ずばり、戦後日本の再軍備推進だったというから驚くではないか。