人生は「ロング」で見れば喜劇…笑って客観視すれば活路を見いだせる
倉本聰が書くドラマ、たとえば「北の国から」でも、登場人物たちがかなりシビアな、時には悲惨とも言える状況に陥っても、どこか柔らかなユーモアが漂っている。
「五郎や純が悩んでる姿って、客観的に見てたら笑えちゃうんだよね。ここにコメディの発想がある。本人にとってはすごい悲劇なんだけど、無責任な第三者にはさ、喜劇なんだよ。だから僕は喜劇ってものが好きだし、そういう喜劇を書きたいんだ。
チャップリンが言ってた。世の中のことはアップで(近くで)見ると全部悲劇である、しかしロングで(離れて)見ると喜劇であるってね。これはね、もう本当に至言だと思う。世の中ってのは、チャップリンの視点で見ると喜劇だらけですよ。僕の大好きなユーモアも、そういうところから生まれてくる。
コメディっていうのは、本来そうでなくちゃいけない。滑ったり転んだりとか、今どきのふざけて見せる、あれがお笑いだっていうのはとんでもない間違いだと思うのね。そういうものにお客が今、慣らさせられちゃってるけど、あれは喜劇とは言わない。おふざけだよね」(「脚本力」から)
私生活であれ仕事上であれ、窮地に立った人間の視野は狭くなる。もしも自分を「ロングで見る」こと、つまり笑って客観視することができれば、そこから活路を見いだせるかもしれないのだ。 (つづく)