女優・吉田伶香「精神的にきつかった」と語る震災のリアル、介護職の役作り

公開日: 更新日:

 26日に全国公開される映画「こわれること いきること」。東日本大震災で家族を失った少女が、介護士として働きながら成長する姿を描いたヒューマンドラマだ。

  ◇   ◇   ◇

 主人公・河合遥を演じるのは「めざましテレビ」のイマドキガールとして活躍中の女優・吉田伶香(21)。遥は、被災して家族全員を亡くした大学生。喪失感にさいなまれるなか、唯一の心の支えだった彼氏にも裏切られ、徐々に人間関係を遮断していく。過酷な経験をした女性役は初挑戦で、役作りには苦労したという。

「重いテーマでナイーブなシーンも多く、精神的にきつかったです。私の地元の山形県では、家が潰れたり、津波にさらわれたりする被害はありませんでした。撮影現場の福島県いわき市では、震災を再現した被災体験をしました。もしも自分だったら、家族が突然いなくなったらどうするんだろう……言葉が出ないと思います。今までは復興と聞いて、大変だと頭でわかっていても、心のどこかで他人事のように感じていたところがありました。映画を通して、復興の難しさをより感じました」

「食事ひとつをとっても命に関わる仕事」

 施設のわがままな老人たちの世話など、介護職のハードな仕事内容を描くシーンも多かった。

「最も難しかったのは、入居者にご飯を食べさせるシーンです。食事ひとつをとっても、アレルギーが一人一人違うので、小さなミスも許されません。まさに命を預かる現場なのだなと。実際はもっともっと仕事量があるわけですから、本当に大変な仕事だと実感しました」

 8歳。小学3年生で震災に遭った彼女が、当時の記憶を振り返る。

あの日の衝撃は忘れられません。3月11日は学校でしたが、地震の影響で親が迎えに来ないと帰れなくなってしまったんです。クラスの中で私だけなかなか迎えが来なくて、『私だけ帰れなかったらどうしよう』と、不安でした。やっとの思いで帰宅すると、家の中は真っ暗。電気が止まって、寒くて食料もなかった。ロウソクや懐中電灯をともして、家族で輪になって過ごしました。地震のあとの生活もしばらく大変でした」

 これから先、どんな行動が復興につながると思う?

「被災地に行って、東北支援やボランティア活動をするのって、誰でも簡単にできることではないと思っています。例えば、毎年3月11日にヤフーやLINEで『3.11』と検索すると、募金になりますよね。私も検索するし、SNSでこういう支援があるよって若い世代に発信するのは、私ができるひとつの方法だと思います。微力ではありますが、できる限りのことを続けていきたいです」

(取材・文=白井杏奈/日刊ゲンダイ)

▽吉田伶香(よしだ・りょうか)2002年生まれ、山形県出身。2020ミス・ティーン・ジャパンでファイナリストになる。その後、女優・タレントとして活動。主な出演作に、ABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー「恋とオオカミには騙されない」(21年)、映画「オカムロさん」(22年)、「貞子DX」(同)。現在、フジテレビ系「めざましテレビ」にイマドキガールとして出演中。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末