女優・吉田伶香「精神的にきつかった」と語る震災のリアル、介護職の役作り
26日に全国公開される映画「こわれること いきること」。東日本大震災で家族を失った少女が、介護士として働きながら成長する姿を描いたヒューマンドラマだ。
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主人公・河合遥を演じるのは「めざましテレビ」のイマドキガールとして活躍中の女優・吉田伶香(21)。遥は、被災して家族全員を亡くした大学生。喪失感にさいなまれるなか、唯一の心の支えだった彼氏にも裏切られ、徐々に人間関係を遮断していく。過酷な経験をした女性役は初挑戦で、役作りには苦労したという。
「重いテーマでナイーブなシーンも多く、精神的にきつかったです。私の地元の山形県では、家が潰れたり、津波にさらわれたりする被害はありませんでした。撮影現場の福島県いわき市では、震災を再現した被災体験をしました。もしも自分だったら、家族が突然いなくなったらどうするんだろう……言葉が出ないと思います。今までは復興と聞いて、大変だと頭でわかっていても、心のどこかで他人事のように感じていたところがありました。映画を通して、復興の難しさをより感じました」
「食事ひとつをとっても命に関わる仕事」
施設のわがままな老人たちの世話など、介護職のハードな仕事内容を描くシーンも多かった。
「最も難しかったのは、入居者にご飯を食べさせるシーンです。食事ひとつをとっても、アレルギーが一人一人違うので、小さなミスも許されません。まさに命を預かる現場なのだなと。実際はもっともっと仕事量があるわけですから、本当に大変な仕事だと実感しました」
8歳。小学3年生で震災に遭った彼女が、当時の記憶を振り返る。
「あの日の衝撃は忘れられません。3月11日は学校でしたが、地震の影響で親が迎えに来ないと帰れなくなってしまったんです。クラスの中で私だけなかなか迎えが来なくて、『私だけ帰れなかったらどうしよう』と、不安でした。やっとの思いで帰宅すると、家の中は真っ暗。電気が止まって、寒くて食料もなかった。ロウソクや懐中電灯をともして、家族で輪になって過ごしました。地震のあとの生活もしばらく大変でした」
これから先、どんな行動が復興につながると思う?
「被災地に行って、東北支援やボランティア活動をするのって、誰でも簡単にできることではないと思っています。例えば、毎年3月11日にヤフーやLINEで『3.11』と検索すると、募金になりますよね。私も検索するし、SNSでこういう支援があるよって若い世代に発信するのは、私ができるひとつの方法だと思います。微力ではありますが、できる限りのことを続けていきたいです」
(取材・文=白井杏奈/日刊ゲンダイ)
▽吉田伶香(よしだ・りょうか)2002年生まれ、山形県出身。2020ミス・ティーン・ジャパンでファイナリストになる。その後、女優・タレントとして活動。主な出演作に、ABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー「恋とオオカミには騙されない」(21年)、映画「オカムロさん」(22年)、「貞子DX」(同)。現在、フジテレビ系「めざましテレビ」にイマドキガールとして出演中。