追悼・門倉有希さん 9年前に語っていた…デビュー直後の94年「失踪騒動」の真相
そんな門倉さんに事務所の社長がかけた言葉は「田舎に帰れ」。アパートまで父と祖父が車で迎えにきたが、父親らが自分を責めないことがかえって負担になった。
「(福島の)実家に帰った翌日。スポーツ新聞の1面にデカデカと私の記事が載りました。事の重大さに気がついたのはその時。当然マスコミはあれこれ書き立てるし、私はどうなってしまうのか不安で不安で。それから半年は実家の自分の部屋にこもりました」
■はにかみながら愛猫の話を
そんなどん底から立ち直れたのはファンレターの存在だった。「歌い続けてください」。気晴らしに父親がドライブに連れ出した。
「付き合っていた彼氏ともキッパリ別れました。未練はまったくなかった。『ここで後戻りしたら終わりだ』とわかりました」
一念発起、96年の紅白で「女の漁歌」を歌い、「ノラ」に出合った。
インタビュー後、事務所から代々木のお店にお誘いいただいた。門倉さんは愛猫家として知られる。繊細で少女のようにはにかみながら話す門倉さんと猫談議で盛り上がった。デビュー30周年。まだ50歳。無念の一言に尽きる。
合掌。
(峯田淳/日刊ゲンダイ)