ホラー+太極拳…映画「サユリ」を見逃すな! 根岸季衣がパワフルな老婆を快演
8月23日に公開される、白石晃士監督の「サユリ」。これは押切蓮介原作のホラーコミックを映画化したものだが、単なるホラー映画だと思ったら大間違い。ホラーはもちろん、青春映画、太極拳アクション、さらにはパワフルなシニアが活躍する一大エンターテインメント作品である。
物語は中古の一軒家に神木家の家族7人が引っ越してくるところから始まる。やがて不思議な少女の笑い声が聞こえ始めて、家族のうち5人が不審な死を遂げる。残されたのは認知症の進行が激しい祖母の春枝と、中学生の孫・則雄。この辺までは正統派のホラー。ところがここで春枝が覚醒。前から家に住み着く霊のサユリが見えていた彼女は、則雄と共にサユリへの復讐を誓い、得意の太極拳も駆使して悪霊に立ち向かっていく。
たばこをすぱすぱ吸い、髪形もレゲエ調にして、悪霊の前でも豪快に鍋を食らう春枝は、「生きている者の生命力の強さこそが、死んだ霊に対抗できる」と則雄に説き、霊を怖がらず、笑い飛ばして、心の弱さに付け込まれる隙をつくるなという。神の力を持ち出すオカルトホラーとは違い、生きる者のパワーを武器にするところが明快で面白い。