カモシダせぶんさん 5年前に火事で自宅全焼…財産ほとんど失うも気づいた「大事なこと」とは

公開日: 更新日:

周囲の援助に、優しい人に囲まれて生きていると気づかされた

 その後も部屋の清掃やリフォームが終わるまで親戚や当時のコンビの相方らが部屋を提供してくれました。清掃などの費用は火災保険と公的支援でほぼまかなえたのですが、半年もかかったうえ、コロナ禍に入ってしまったので、みんなには感謝しかありません。

 宿だけではありません。洋服から生活用具から何もかもなくなったのに売れない芸人の僕には買うお金が十分にない。どうしたかというと、これもみんなのおかげで、何とかまかなえたのです。

 アルバイト先の書店の先輩は火事見舞いとしてアマゾンギフトのポイントをすぐに送ってくれました。図書カードをくれたファンが何人も。親戚の援助もありました。みんなの優しさが身に染みました。僕はこんな優しい人たちに囲まれて生きているんだと気づかされました。

 ひどい火事にもかかわらず、やけどや落命する人が出なかったことにも救われました。もしそんなことになっていたら、僕は今頃、芸人なんてやれていないでしょうから。

 実は火事にあった日、読みかけの中国のSF小説「三体」(早川書房)を持ち歩いていたのでこの本だけは無事だったんです。「三体」は太陽光線で星が燃えて滅亡する話。財産のほとんどは燃えてなくなったのに、燃えた話の本だけ生き延びたなんて不思議です。

 さらに2年後、三部作の「三体」の最終巻の発売日に一連の出来事をツイッターで発信したら、なんと中国の作者の劉慈欣先生からサイン本が送られてきたんですよ。不幸中の幸いがたくさんあった出来事でしたね。

(聞き手=中野裕子)

▽本名:鴨志田道秋(かもしだ・みちあき) 1988年7月、神奈川県川崎市出身。松竹芸能タレントスクール東京校10期生。3度のコンビ結成と解散を経て、2024年5月、「オオトウ」と「デンドロビーム」結成。ピンでは「現役書店員芸人」としてバラエティー番組などで推薦本を紹介。「BibliobattleoftheYear2023」(読売新聞社主管)新人賞受賞。24年、「探偵はパシられる」(PHP研究所)で小説家デビュー。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末