あのちゃん、もうコミュ障じゃないでしょ。特番で見せた「普通の芸能人」への進化にガッカリ
ブッ飛んだ「不思議ちゃん」キャラで有名に
【「残念プロフェッショナル」の流儀】
ブッ飛んだ不思議ちゃんキャラで人気を博しているアーティスト・タレントの「あの」ちゃん。
2021年、『水曜日のダウンタウン』と『ラヴィット!』(ともにTBS系)のコラボ企画で注目を集め、2022年にリリースした曲「ちゅ、多様性。」がTikTokでバズりにバズって、2023年末の『紅白歌合戦』(NHK)に初出場。大ブレイクしました。
そんなあのちゃんのことを、コラムニストでカウンセラーでもある堺屋大地さんはどのように分析しているのでしょうか。
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あの(歌手・タレント、年齢非公表)
「コミュ障」「陰キャ」のイメージが…
学生時代に不登校で引きこもりだったというバックグラウンドを持ち、自身のアルバムに「コミュ賞センセーション」なる楽曲を収録していることもあり、「コミュ障」や「陰キャ」といったパブリックイメージが定着しているあの様。
独創的なワードセンスや歯に衣着せぬ毒舌ぶりなども手伝って、一躍お茶の間の人気者になりました。
昨年後半に出演したテレビ番組でも、LINEの未読が2000件以上といったことや、友達と呼べる人がいないといったお得意の「コミュ障」「陰キャ」エピソードを語って盛り上げていましたが、実は最近のあの様はかなり変わってきていることにお気づきでしょうか?
そう、昨今のあの様はすでに「コミュ障」「陰キャ」などではなく、バラエティ番組で制作側が求めている対応がちゃんとできる「普通の芸能人」に“進化”しているのです…!
「笑いの教科書」的に満点の受け答え
テレビ業界は年末年始の特番ラッシュでしたが、あの様は多くのバラエティ番組から引っ張りだこになっていました。
そんななかで筆者が特に注目したのが、年越しの深夜に放送された『ぐるナイ年越しおもしろ荘!今年も誰か売れて頂戴SP』(日本テレビ系)と、元旦の朝から放送された『新春!爆笑ヒットパレード2025』(フジテレビ系)でのあの様の言動です。
まずは『おもしろ荘』での振る舞いから。
若手芸人たちのネタを観てコメントをするゲスト枠での出演。番組冒頭でナインティナイン・矢部浩之さんから「嫌いな芸人さんいます?」と尋ねられた際の、あの様の切り返しは秀逸でした。
「苦手なのは、すごくうるさくて、充電ばっかり借りてる…」と発言。それは、その場で共演していた出川哲朗さんのことを暗に示しており、出川さんが慌ててツッコミを入れるという展開になって爆笑を生んだのです。
『爆笑ヒットパレード』での大人の対応
一見すると、従来通りの「コミュ障」「陰キャ」を土台とした毒舌だったわけですが、あまりにもきれいすぎて、筆者はちょっと冷めてしまったのです。
あの様のコメントで笑いが生まれましたし、出川さん的にもイジられてオイシイ状態でしたから、「笑いの教科書」的に満点の受け答えだったように感じます。
しかし、よくよく考えてみてください。
予測不能な言動で場を荒らすという天邪鬼さこそが、あの様のもともとの魅力だったはず。にもかかわらず、このときのあの様は予測不能どころか教科書どおりの対応をし、出川さんがキレるというオチまでの流れを見事に演出していたのです。
お次は『爆笑ヒットパレード』での振る舞い。
こちらでも芸人たちのネタを観るゲスト枠での出演。長時間の番組だったため、放送開始から3時間が経過したころにMCのかまいたち・濱家隆一さんから、「あのちゃんどうですか? ここまで3時間」と振られました。
するとあの様は「ちょっと眠いです」と正直な発言をして小さい笑いを取り、その後すぐに「でもこっからまた笑います。楽しみ」と笑顔を見せたのです。クスッと笑えるコメントをしつつ、ネタ番組の空気を壊さないような当たり障りない大人な対応。
素晴らしい「普通の芸能人」っぷりと言えるでしょう。
「普通の芸能人」へと進化した
ーー昨年のあの様は俳優業にも精力的で演技力を高く評価する向きもありますが、本業の歌手としては「ちゅ、多様性。」に匹敵する大ヒット曲は生み出せていません。
そのうえ、徐々にガチな「コミュ障」や「陰キャ」ではなくなってきており、個性(ウリ)が消失してしまったーーな~んて考えている人もいるかもしれませんが、心配は無用です!
小さくまとまった笑いを取ることができますし、場の空気を壊さない無難なコメントもできるようになっており、どんどんバラエティ番組のひな壇に座るにふさわしい、普通の対応ができる女性タレントへ成長していっているのですから!
万が一、これから歌のヒットが出なくても役者仕事がなくなっても、ひな壇に座って番組に華を添えることができる進化したいまのあの様なら、芸能人生は今後も安泰でしょう。
(堺屋大地/コラムニスト・ライター・カウンセラー)