(5)心臓弁膜症の手術は心臓を停止して行われる…1日10万回開閉する弁が壊れる
心臓弁膜症という、これまた変な名前の病気があります。「弁膜って何?」と聞かれても知りません。心臓の弁が物理的に壊れて血液が逆流したりする病気ですから、普通の医師は「僧帽弁閉鎖不全症」、または「構造的変性疾患群」と呼んでいます。
きっと、むかしむかし、トーダイかどっかのそれはそれはエライエライ先生が御命名なされ、奉りあそばされ、給うたのでしょう。ですから文化遺産好きの人を除き、普通の医者は「弁膜症」などとは言わないのです。
心臓の弁がなぜ壊れるのか? わかりません。1日に10万回も開いたり閉じたりしていますから、持たなかったということなのでしょう。バイ菌に感染して起こることもあります。ではなんでバイ菌に感染したの? と聞かれれば、これまたわかりませんとしか答えようがありません。
なる人とならない人がいるという現実も、説明などできません。医者はだれしも、目の前の患者の「なんでこんな病気になったんですか?」という疑問に答えることなどできないのです。
これをうまく理解する言説に最近、出くわしました。スピノザという17世紀のオランダのユダヤ人の哲学者です。