フジ“やり直し会見”10時間半を識者はこう見た 影山貴彦(同志社女子大学教授/メディア論)・鎮目博道(元テレビ朝日プロデューサー)
ガバナンスの至らなさの表れ
冒頭30分で中途半端にも至らない会見だと受け取りました。会見の場に日枝取締役相談役を呼べず、物言いは中途半端。第三者委員会の説明より、視聴者に対するおわびに時間を割くべきだったのでは。これまでも視聴者に対する心の底からのメッセージはなかったので、しっかり言葉を重ねるべきでしょう。
今回の会見が初回ならまだ逆風も抑えられたかもしれませんが、17日の会見を踏まえてなのでより厳しさを求められる中で合格点とは言えません。社長交代についても、清水新社長にはいい印象を受けましたが、相談役含め残留する役員がいると新人事もかすんでしまう。民間企業ならその業種に精通する人材を外部から招聘するのが一般的ですし、本来なら社長も役員も一掃するタイミングなのでは。被害女性が“嫌悪感を持っていた”ことを明かしたということは、幹部のA氏が何らかのダメージを与えたことは容易に推察できます。いまだに怒りを覚えているということ、ヒアリングしたにもかかわらず退社されたということは、フジテレビのガバナンスの至らなさの表れと言えるでしょう。
(影山貴彦/同志社女子大学教授・メディア論)