メジャーを席巻「魚雷バット」を徹底分析…ヤンキースはなぜ奨励したのか、その効果は?
魚雷の形をしたトルピードバットが話題になっている。
マサチューセッツ工科大の物理学の研究員からヤンキースのマイナーの打撃解析者に転じたアーロン・リーンハートが2023年に開発したもので、ヤンキースでは今季開幕からゴールドシュミット、ベリンジャー、ウェルズ、チザム、ボルピーの5人が使用している(MLB全体では12人が使用)。
使用者がヤンキースに集中するのは球団が奨励したからだ。ヤ軍ではオフに昨年41本塁打のソトがチームを去り、正真正銘のホームランバッターはジャッジだけになってしまった。ソトの穴を埋めるため元MVPのゴールドシュミットとベリンジャーを獲得したものの、衰えが顕著で本塁打の量産は期待できなくなっている。打線の主要メンバーのパワーはチザムが中の上レベル、ウェルズとボルピーは中レベルなので、ヤンキースは今季、昨年ア・リーグでトップだったチーム本塁打数が大幅に落ち込むことが予想された。しかも、キャンプイン早々、大エースのコールがヒジを壊してトミー・ジョン手術を受ける事態となり、チーム総失点の大幅増が予想されるため、昨年並みの得点力を維持することが至上命令になった。そこで、もともとは見る影もなく衰えたかつての主砲・スタントンを蘇らせる道具として開発されたトルピードバットを選手たちに奨励したのだ。それを拒否したのはジャッジだけだった。