清野菜名「119エマージェンシーコール」管制員と通報者とのやり取りがスリリングな良作
清野菜名主演「119エマージェンシーコール」(フジテレビ系)の舞台は横浜市消防局司令課。119番通報を受け付け、出動指令を発する部署だ。制作に当たり同市の協力を得ていたが、途中でクレジットが取り下げられてしまった。「中居正広問題」の影響であり、ドラマ自体のせいではない。
粕原雪(清野)は新人の指令管制員だ。通報が入ると、まず「消防ですか、救急ですか」と問いかけ、事態を確認・把握した上で消防車や救急車を出動させていく。
ドラマの多くの部分が指令センターの室内場面だ。当初、見ていて退屈するのではないかと思ったが杞憂だった。管制員と通報者とのやりとりが何ともスリリングなのだ。
頼りになるのは音声だけ。見る側は雪と一緒に耳をすませながら現場の状況を想像する。しかも雪は優れた聴覚を持つ。かすかな音声も正確に聞き取ることが可能だ。そこから問題解決のヒントを見つけたりする。
先日は山で遭難した少年と雪の姉・小夏(蓮佛美沙子)のエピソードが描かれた。小夏は失声症のため通常の会話が難しい。雪の能力がフル稼働する回だった。
度々、管制員としては逸脱した行動をとる雪だが、命を守ることへの真摯な思いは伝わってくる。生きることにちょっと不器用だが、応援したくなるキャラクターであるヒロインを清野が好演。隠れた良作となっている。