すい臓がんの84歳女性「遊んでいる子供たちの姿から元気をもらえる」
訪問診療の診察時などに、患者さんから最近楽しかったことや、待ち焦がれていることなどをうかがう機会がよくあります。中には我々に話をしたくて診察日を楽しみにして待っていらっしゃる方もいて、いざお話を始めるとお体に障るのではないかと心配してしまうほど、おしゃべりしっぱなしということもあります。
また、訪問看護師さんやホームヘルパーさんからも、なんともほほえましいお話を教えていただくこともあります。
患者さんの中には、歯磨きや着替えといった日常生活動作(ADL)、電車やバスを使っての移動や買い物に行くなどのIADL(手段的日常生活動作)が難しい方もいます。外出もままならない患者さんにとっての、ご家族や我々療養スタッフと交わす会話の大切さを考えさせられるのでした。
そしてそのためにも、療養の場が「気兼ねなくお話ができる自宅」ということが重要であり、それが患者さんにとっても、最期まで自分らしく生きるための最良の方法なのだとの思いを強くするのでした。もちろん会話だけではありません。在宅医療を始められた患者さんのご自宅にはその方にとって大切な日常があふれています。