「緑内障」と「白内障」は何が違う? 治療と対策で知っておくべきポイント
加齢とともに増える目の病気が緑内障と白内障だ。名前が似ているこの2つの病気、その違いは?ちょうど今は世界緑内障週間。知っておきたいことを「たじみ岩瀬眼科」の岩瀬愛子院長に聞いた。
■どちらも中高年でリスクが高くなる
「緑内障と白内障は混同されることも多いのですが、全く違う病気です」(岩瀬院長=以下同)
緑内障は、眼圧の上昇や加齢などで目と脳をつなぐ視神経が障害される病気だ。対して白内障は、目のレンズの役割を果たしている水晶体が、加齢とともに濁っていく病気である。
症状の違いとして、緑内障は、徐々に視野が狭くなり、治療を受けずにいると失明に至ることもある。白内障は、視界が全体的に徐々にかすむようになり、見えづらくなったり、ものが二重に見えたり、光をまぶしく感じたりするようになる。
「緑内障の治療は基本は点眼薬、場合によってはレーザーや手術で眼圧を下げます。白内障は症状の進行を抑えるために点眼薬を使うこともあるものの、治療の基本は手術。日常生活に支障が出るようになったタイミングで、手術によって濁った水晶体を取り除き、眼内レンズと交換します」
緑内障と診断された患者から「手術で治るんですよね?」という質問が出ることもあるそうだが、残念ながら緑内障は手術で治らない。点眼薬でも治らない。
「緑内障で障害された視神経は元には戻らず、失った視機能は取り戻せません。緑内障の手術は、これ以上視神経の障害が進まないよう、眼圧を下げることが目的です。しかし白内障の場合は手術できれいな眼内レンズに換わりますから、発症前と同様の視機能を取り戻せます」
緑内障と白内障の両方を併発している人も少なくない。そういう場合は、緑内障には緑内障の治療、白内障には白内障の治療が行われる。注意が必要なのが、「白内障手術のついでに眼圧を下げる緑内障の手術もやりましょう」という安易な提案だ。最近、緑内障治療を専門とする眼科医の間で問題視されている。
「同時手術が適切な患者さんもいますが、そうではない患者さんもいる。同時手術か、あるいは別々に行うかは、一人一人異なるのです。選択を間違うと視機能に問題が生じる恐れもあります」