「この日本語、どこからきたニャン?語源図鑑」猫野シモベ著
「この日本語、どこからきたニャン?語源図鑑」猫野シモベ著
何不自由なく日本語を使いこなす人でも、「ケチ」のことをどうして「ケチ」と言うのか、答えられる人は少ないのでは?
「お金を惜しむ」や「心が狭くていやしい」など、ケチにはさまざまな意味があるが「不吉なこと」という意味もある。
実は、ケチのもともとの意味は「不吉なことの前兆」だという。
「怪事(けじ)」が語源と考えられ、「怪事が出る(=不吉なことが起きる)」などと使われてきた。現代の「ケチがつく」と同じ使い方だ。
このように時代によって変化を続ける言葉もあれば、1000年以上も変わらずに使い続けられている言葉もある。
本書は、誰もが日常で使っている言葉の語源を猫写真とともに解説してくれる面白ウンチク本。
「予期せぬこと」を意味する「まさか」は、万葉集にも出てくる言葉だが、当時は現在と違い「今」という時間を表す言葉だったそうだ。
なぜ「今」を意味したのかというと、その語源が「目」だったからだという。目の前のこと「目前(まさき)」から転じたものではないかという説と、目を表す「ま(目)」と方向を表す「さ」、すみかのように居場所を表す「か」が合わさった言葉だという説もあり、現在のような意味で使われるようになったのは、江戸時代になってからだそうだ。
ちなみにこの項に添えられる猫の写真は、ご主人の膝の上に抱かれて、目撃した「まさか」の事態に身を乗り出して金色の目を見張る猫ちゃんだ。
ほかにも、「やばい」「ずるい」「さぼる」など、お馴染みの言葉70余ワードを解説。
「ちょろい」には、ドアノブに飛び乗りドアを開けようとしている猫など、猫写真も豊富で見て読んで、読んで見て楽しい一冊だ。
(サンクチュアリ出版 1540円)