「速歩き」は心臓の健康にとってプラスになる…発症と死亡リスク低下
「歩く」=「ウオーキング」は心臓病をはじめとしたさまざまな病気のリスクを低下させ、健康寿命を延ばす──。この事実はこれまで数々の研究で明らかになっていて、一般にも広く知られています。
たとえば、2020年に米国で報告された研究では、1日の歩数が多いほど全死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクが低下することがわかっています。1日4000歩の人に比べ、8000歩の人は全死亡と心血管疾患死のリスクが51%減少し、1日の歩数を1000歩増やすごとに全死亡リスクと心血管疾患の発症及び死亡リスクが低下していました。
ウオーキングが心臓の健康にプラスに働くのは、有酸素運動によって心肺機能が向上し、心臓の筋肉が鍛えられるためです。歩くために体を動かすと、心臓はより多くの血液を体中に送り出そうとして、普段より活発に働きます。心臓も筋肉でできていますから、適度な負荷がかかることによってある程度は鍛えられ、心拍数が減って心臓に負荷がかかりにくくなるのです。
さらにウオーキングは、血流を良くして動脈硬化のリスクを軽減します。実際、日本の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」では、ウオーキングなどの有酸素運動を、「ややきつい」くらいの強度で、毎日30分あるいは週150分を目標に週3回は実施することが推奨されています。