「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政
問題は、このことが誰にも知らされず、当の俳優座の人も知らず、秘密裏に行われたことである。
経営していたのは俳優座劇場という会社だ。貸小屋での収入は多くて月500万。メンテや人件費に月400万、何年かに一度は舞台機構の改善などに何千万とかかる。更に固定資産税が港区だけに月100万。当然の赤字だ。それをプロデュース公演の旅公演と大道具制作の収入で賄ってきた。決して放漫経営だったわけではない。
維新とつるみ自民党政府から100億もクールジャパン予算をもらった吉本ならそりゃ簡単に借りられるだろう。いや、更地にしてビルだって建てられるかもしれない。
いやそれも、最初からそう言ってくれていれば、まだ納得がいく。
なぜ誰にも知られず、秘密裏に事を運んだのか。ここら辺がなんとも気持ちが悪いのだ。もし表立って発表すれば、それなら国や港区を巻き込んでもう一度文化遺産として劇場を保存してくれという運動もできたはずだ。きっと、そんなことになったら面倒くさいからだろう。