人気絶頂期に田舎暮らしを始めた高木美保

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 その後、高木は決断の理由のひとつが自律神経失調症だったことを明かした。子供の頃から体が弱かったという。連続ドラマの撮影に入るとまとまった睡眠時間も食事もなかなか取れず、不規則な生活が続いたことで90年ごろに自律神経の働きを乱してしまう。過呼吸や頭痛、倦怠感を覚えるようになり、ひどい時はパニック発作を起こし、「死んでしまおうかな」という衝動に襲われたりしたこともあったとも。

 そんな時に出合ったのがロケで訪れた奥入瀬渓流。自然の中にはまってみたら、ウツウツした気分がスッと抜け、大切なものを見つけたような気がしたという。「思い切って何かを切り捨てなくちゃいけない」と女優の仕事を少しずつ減らしてバラエティーに移り、さらに「自然の中で暮らし、自分の生活をもう一度取り戻したい」とロケで地方に行くたびに物件を探すようになった。最初は北海道を考えていたというが、自然が穏やかで東京にも通いやすい那須に決定した。

 早起きして農作業に出かけ、合間に原稿を書く健康的な生活。トマトやナス、キュウリなど野菜はほとんど栽培し、自給自足。近所の家族と共同で米作りも行った。初めて自分で育てたトマトを食べた時は体中がカイロを貼り付けたように温かくなってきて、「自分で作ったものを食べることが、いかに生命をもらって元気に生きられるかという源になるか」と五感がスッカリ目覚めたという。田舎暮らしの経験を生かして講演活動を行うとともに、エッセー「木立のなかに引っ越しました」(幻冬舎)などを出版した。

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