運動マヒの後遺症が改善 常識打破の脳卒中「新リハビリ法」
磁気刺激+リハビリを行った1008人の患者を調べると、8割に腕の機能向上が見られた。
「お茶碗を持ってご飯を食べられる、編み物をできる、洋服を着替えられるなどです。対象患者は、脳卒中発症から1~28年。これまでの〈リハビリでよくなるのは発症後6カ月以内〉から大きく外れた方々です」
ただし、これは万能のリハビリ法ではない。
「少なくとも2本の手指の曲げ伸ばしが可能な患者が対象です。〈今の動きを、より動くようにする〉というのがNEUROなので、全く動かない人には向いていません」
脳卒中で運動マヒが残っている人は、マヒ側の筋肉がこわばり、内側に曲がった状態で極端に動きにくくなる痙縮(けいしゅく)も多い。そういう場合は、ボツリヌス毒素治療を行う。
「細菌が作り出す天然のタンパク質(ボツリヌストキシン)は、筋肉の緊張をやわらげる作用があります。運動マヒの改善は体の中心から進むので、上肢の場合は、肩、肘、手首の順。ボツリヌストキシンを肩回り中心に注射し、痙縮を落として、訓練をしやすくします」