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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

キャスター小倉智昭さん全摘へ がんでも膀胱は温存できる

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■菅原文太がこだわった立ち小便

 私の外来に来られたのはそんなときで、07年3月のことでした。全摘宣告のショックからか、軽いうつ状態と見受けられましたが、こう言われたのです。

「立ち小便ができないようじゃあ、菅原文太じゃねぇ!」

 膀胱温存を望む強い意思をひしひしと感じたのです。温存療法に取り組む筑波大病院を紹介。抗がん剤治療に陽子線治療を加えた治療を受け、それから7年、最期まで元気に活動されていたことをよく覚えています。

 膀胱がんは、粘膜の表面に乳頭状にできる「表在性がん」なら、内視鏡で切除できます。しかし、粘膜をはうように広がる「上皮内がん」は悪性度が高く、浸潤がんになるリスクが高い。報道によると、小倉さんも浸潤がんといいます。

 膀胱全摘のつらさは、文太さんの言葉が物語っているでしょう。そんな事態を免れるためには、とにかく早期発見に尽きます。

 血尿や排尿時の痛み、排尿回数の増加などが膀胱がんの主な症状ですが、痛みがなく、血尿がわずかなことも少なくなく、治ったと思って受診が遅れる人が珍しくありません。1年に1回の検診で、血尿の有無をチェックし、それで陽性ならすぐに泌尿器科を受診することです。

 早期発見できると比較的治りやすいのですが、4~5割は再発するため、内視鏡治療後も定期的な検査が欠かせません。

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