なぜ米はグランド・プリンセスの乗客を早期下船させるのか
こうした数値を基に、1月21日~2月19日の期間中にまったく検疫・隔離を行わなかった場合の感染者数を算出したところ、2920人(79%)とはじき出された。つまり、検疫・隔離により約2300人の感染が回避されたことになる。
■感染者70人にとどまった可能性も
一方、横浜港に入港した2月3日時点で全員を下船させた場合の潜伏期の感染者数は76人で、横浜港到着直後に全員を下船させた上で陽性者および感染の可能性がある者に対処していれば、計算上の感染者は約70人にとどまり、検疫の末に発生した感染者数600人超を大幅に下回ったとしている。
北品川藤クリニックの石原藤樹院長が言う。
「ダイヤモンド・プリンセス号の検疫のありかたについては、後から見ればいろいろと問題のあったことは事実ですが、早期の隔離により感染が食い止められたことも今回確認されています。グランド・プリンセス号ではその分析を基にして、より良い方法として早期の下船と、乗客と乗員を分けての隔離、という方針が決められたのだと思います。この方法が計算通りの効果をもたらすかどうかは、今後慎重に見極める必要があると思います」